中村憲剛選手引退によせて
今日、中村憲剛選手の引退が発表されました。
会見が始まったのが15時。そしてこの記事を書いているのが同日21時。
この6時間で自分の感情を整理してみたんだけど、悲しさよりも寂しさが強いんですが、それ以上に中村憲剛選手の ーーーここからはいつもどおりケンゴと呼びますーーー ケンゴの次のキャリアが楽しみな自分がいるんですよ。
あの視野と言語能力が解説者や指導者として発揮されたら?
それを考えるとワクワクしてきます。
でも、それはもう少しあとの楽しみ。
今はあと2ヶ月ちょい、2021年1月1日の国立競技場まで駆け抜けていくケンゴをしっかり後押ししたいです。
「体力の限界」と言った千代の富士関、「鹿島の選手らしい立ち振る舞いが出来ていない」と言った内田篤人選手、いまだ現役にこだわる三浦知良選手。
引き際のタイミングや理由は本人にしか分からないし、そこは立ち入ってはいけないなと。
ホント、そこはもう美学ですよね。センスとも言うしエゴとも言う。
それを貫き通せるのが一流なんだと思います。
サッカー選手としてのケンゴについての想いは下の記事に拙いながらも書ききったので改めて書くことはないです。
ここでは川崎フロンターレとケンゴの関係性について思うところを少しだけ。
10/31の試合後コメントで家長選手も話されていましたが、川崎フロンターレそのものがケンゴなんだと思います。
無名の存在としてスタートし、地域とサポーターを大事にし、魅力的で攻撃的なサッカーでスタジアムを沸かせる。そして、Jリーグでトップクラスの存在までになった。
ここまで1つの組織と1人の選手がリンクして成長してくるというのは、少なくともJリーグにおいて今後は出てこないと思っています。
そんな稀有な事象を、彼らの歴史からするとほんの数年でしたが見てこられたのは得難い経験でした。この数年間は私にとってかけがえのない物になるはず。
だから改めて伝えたいです。何度でも伝えたいです。
「ケンゴありがとう」と。
たぶんラストプレーを見たら私も泣くんだと思います。きっと泣く。
だから今は笑って貴方のプレーを見ていたいです。
サッカー選手としてのケンゴのあと2ヶ月を今まで以上に楽しみにさせてもらいます!!
#OneFourKengo
#ケンゴありがとう
前略、中村憲剛様
前略、中村憲剛様
私がはじめて貴方を知ったのは『川崎フロンターレのケンゴ』ではなく『日本代表の中村憲剛』でした。
川崎市生まれ川崎市育ち、悪そなヤツからは裸足で逃げるという純川崎っ子な私はサッカーは好きでもJリーグは見ていなかったのです。
理由は、まぁ、ここでは良いでしょう。川崎市はJリーグ強豪クラブに相応しい都市であるとだけ。
代表での貴方しか知らなかった私は、貴方のサッカー観を知るすべもなく(当時は今ほどインターネット媒体の記事は多くありませんでした)途中出場で鬼のようなパスを通す選手という認識しかありませんでした。
そして南アフリカW杯が終わり、それから数年後に私は川崎フロンターレと出会うのです。
そこには、代表戦と変わらずに鬼パスを何本もFWへ届ける貴方がいました。そして、代表戦では見たことのないエンターテイナーとしてのケンゴがいました。
勝っても負けてもド派手な試合。3点取らなきゃドローや負けを覚悟しなきゃいけない試合。ウノゼロの美学?何それ美味しいの?な試合。
さらには奇想天外な試合以外でのイベントの数々。
そんな川崎フロンターレに私が魅了されるまでに必要な時間はごく僅かでした。そのフロンターレの中心にいつも貴方を感じてここまで来ています。
そこから更に数年後、ピッチに倒れこみ、自らの腕を交差させてプレー続行不可を訴える貴方の姿に、私は言葉では言い表せない不安を覚えました。
大怪我、選手生命、引退、etc。色々な事を考えてしまい、正直あの試合の事はあまり覚えていません。
クラブからリリースされた結果は前十字靱帯損傷、全治7ヶ月。
そのまま引退して指導者や解説者の道を進む事も出来た。そうなったとしても、それを歓迎するサッカーファンも多かったでしょう。
しかし貴方は手術し、困難なリハビリを乗り越えて、ピッチに戻る事を選びました。
それだけでも、私は改めて中村憲剛という人間の強さに感嘆し尊敬しました。
それで十分なのに、貴方は少なくとも公になる部分では明るく前向きに振舞っていましたね。
なんという強さだろう。これが人生の大きな岐路へ急に立たされた人間の立ち振る舞いなんだろうか。
だから私は思ったのです。絶対に貴方は等々力に帰ってくると。
フロンターレサポーターに笑顔を届ける為に帰ってくると。
・・・・・・怪我から約300日後、貴方は帰ってきてくれました。
等々力に集まった4,798人の万感の拍手に迎えられて、貴方はピッチに戻ってきてくれました。
ファーストプレーでシュートを放つと、そこからは水を得た魚、等々力の力を得た中村憲剛。あっという間にゲームを支配し、抜け目ないプレーで復帰後初ゴール!!
そのシュートが怪我をした左足だったのはきっと偶然だったのだと思います。しかし、何かそういうフォトジェニック的な部分を引き寄せる力が貴方にはあるのかもしれませんね。
ここから先、貴方が何年何十年と現役サッカープレーヤーで居続けてくれるのかは分かりません。その間に何本もシュートを放ち、何本もパスを通すでしょう。
それでもきっと2020年8月29日の約20分のプレーを私は忘れない。
中村憲剛はピッチの内外でサポーターに笑顔を届けるサッカー選手。
そんな貴方をこれからも見続けていきたいと思います。貴方も常に笑顔とともにいられるように願って。
それでは、また、等々力で。
吾輩は猫である
吾輩は猫である、というのをニンゲンの誰かが書いたと聞いておる。
【猫】というのは我のような姿形をした生物を一まとめにした物言いだそうな。
しかし、我は思うのだ。そのような物言いは不遜であると。
我は我のみであり、天にも地にも比する物のない唯一無二の存在である。
故に言う。
あんこはあんこである。
我が家の下僕どもから捧げられた名ではあるが、我が姿を模した甘味の名とのことで気に入っておる。さすがは我が下僕どもと誉めておこう。
いま、ニンゲンの世では疫病が流行っておるそうじゃな。
我としても安寧の世を祈るものなので心を痛めておる。
同胞たちもニンゲンの健全な活動があってこそ、安心して生きていけるというもの。
終息することを祈るのみじゃ。
さて、つい最近まで我が家のオスの下僕が如何せん覇気がなかった。
どうやら【じぇいりーぐ】なる行事が疫病のせいで行われておらん事も影響しておったそうじゃ。
この【じぇいりーぐ】なる行事は【さっかー】という争いごと……ふむ【すぽーつ】という物のようじゃ。
大きな枠の中に玉を入れたり入れらりたりで一喜一憂するものというのは知っておる。
我も【いんたーねっと】とやらで見ておるのじゃ。
うちのオスの下僕がな、たいそう【じぇいりーぐ】が好きなようで、ニンゲンの尺度でいうところの週末とやらに意気揚々と朝から出かけて行っておった。
下僕であれば何時いかなる時も主の傍に控えておるべきではあるが、そこは我の度量というもの。下僕の娯楽ぐらいは大目に見ようではないか。
主たるもの、常に下々の者どもへ目を配らねばならぬ。
鞭だけでは下の者へ真なる忠誠は誓われない。
飴だけでは軽く見られてしまう。
その中庸こそが王者としての生きる道よ。
おっと、いかんな。話が外れてきておる。
あちこちに話が飛んでしまうのは我の癖じゃ、許せ。
そうそう【じぇいりーぐ】であったな。
どうやら再び動き出すと聞いておる。ムライなる者が八面六臂の活躍であったと【いんたーねっと】にあった。ニンゲンながら天晴である。
我が家のオスの下僕もここ数日は浮ついておるわ。
我が傍に四六時中おる日は、なにやら不要な物の整理や掃除や勉強など前向きに色々と取り組むようになった。善きかな、善きかな。
我が家の下僕しかニンゲンは知らぬが、どうやらニンゲンは娯楽があってこそ務めを果たせるようじゃ。オスの下僕は常々「待っているのは最高の週末だ!」と言っておる。
うむ、励むがよい。
しかし【じぇいりーぐ】というものは不思議じゃな。
【ら・りーが】や【ぷれみあ】というところでも同じ【すぽーつ】をやっており、我の目からしても【じぇいりーぐ】とは実力差が大きいように思える。
強き者こそ絶対であるのは世の真理。
それなのに、この【じぇいりーぐ】も負けず劣らずニンゲンの心を揺さぶっておるようじゃ。
走り、競い、時に勝ち、時に敗れ、倒れ、そして立ち上がる。
その姿にこそ、勝ち負けを超えた何かがあるのだろうな。
我ですら美しいと思える時がある。
オスの下僕は、その何かを見たくて【じぇいりーぐ】を見に行っているのやもしれぬな。
下僕よ、もうしばし待つのだ。
貴様が大好きな【じぇいりーぐ】は、もうすぐ戻ってくる。
必ず戻ってくる。
……ぬ?
待て、尻の匂いを嗅ぐでない。
今は大事な話をしておるのじゃ。
やめろと申しておるだろう!やめんか!!
シャーーーーーーーーーーー!!!!
(なにか走り回る音)
※しばらくお待ちください
ふぅ。
あいや、すまぬ。
同居の者が構ってきておってな。
心根が悪い者ではないのだが、どうも馬が合わなくてな。
少し懲らしめてきたのじゃが、もう忘れておるようじゃ。
話が途切れてしまったので、最後に1つだけニンゲンに伝えたい事がある。
ちゅーるじゃ。ちゅーるを我らに捧げよ。
さすれば、無限の癒しを与えん。
ではの。
川崎フロンターレ 2020メンバー予想
はいっ!Jリーグの再開日が発表されましたね!
J1は7/4、J2J3は6/27(J3は開幕)
噂によると、フロンターレの再開一発目はvs鹿島とか?
いきなりのビッグカード!心躍ります!
さて、無事にリーグ戦が再開されたとして、日程は三密どころじゃなく過密になります。朝の南武線の上りぐらいにギューギューです。
クラブ強化担当者が「2チーム分の戦力が~~」というのを移籍期間前後に言うのを聞きますが、まさにその言葉通りに2チーム分の戦力がないと、再開後はコンディション的に非常に厳しい戦いを強いられる事になります。
そんなワケで、フロンターレの選手を2チームに分けて、どういうメンバーになるかを予想しました。
手前がAチーム。奥がチームα。
なるべく戦力均等化を目指して予想しました。
補足事項を、、、
・ケンゴの復帰は、やはり必要。復帰までは三笘の起用もあり?
・谷口はどうしてもどちらからも削れない。怪我に気を付けて頑張ってもらうしか。
それでも休ませるなら、車屋ー山村ー山根の3バックも?
・夏移籍でJ1トップレベルのCBを1人獲得するのも良いですね。
表外のメンバーは他にも
宮代、三笘、ゼイン、原田、神谷、藤嶋、安藤。
そして6/5に加入内定、6/11に特別指定選手となった橘田。
フフフ、、、選り取り見取り。
大卒ルーキー以下の年代の選手だけでもかなりの戦力なので、彼らの活躍にも期待大ですね!!
そんなワケで独断とヘンケンに溢れたメンバー予想でした。
出来れば、来年は金色のJリーグワッペンを付けたいですが、怪我なく病気なく無事にリーグ戦を終える事が一番の望みです。
【あとがき】
こういう風に贔屓チームの近い未来の話を出来る日々は、やはり良いものですね。
これで感染拡大が終わりますように。
医療従事者の方たち、物流やインフラを支えて日常生活の破綻を防いでくれた方たちに感謝して〆たいと思います。
いいね!の数だけ2019フロンターレの盛り上がりポイントを挙げる
#いいねの数だけ2019シーズンの川崎フロンターレの試合でグッときたシーンやスタジアムが最高に盛り上がったシーンを言う見た人も是非そして今年もそんなシーン沢山あるはずだからみんな等々力に集いましょう
— ヨーさん (@600rrAnko) 2020年1月29日
ベガルタ仙台サポーターさんがやっていたので、フロンターレ版にして便乗。
19個、挙げていきます。
1.ゼロックスのダミアン日本初ゴール
ユニフォームの背番号を9にしたので嬉しかったのをよく覚えてます。
2.リーグ2節、ケンゴ初イヤァオ!
個人的にはその後ろでチームメイトの交通整備してたショーゴが地味にツボ。
3.リーグ9節、馬渡FK炸裂
あの距離をしっかり決めてくるのは流石です!
4.リーグ11節、ダミアンバイシクル
そこにワールドクラスのストライカーの本領を見た。
5.リーグ12節、自陣ゴール前からの展開
「お?抜ける?抜ける?お!抜けるぞ!?抜けたーーー!!」と心の中で叫んでおりました。
6.リーグ19節、自選今季ベストゲーム
多摩川クラシコ。この試合がこれから出来るならっ!と思っておりました。
7.リーグ20節、3点目
リョータのフィード→ダミアンのポスト→阿部ぇぇぇぇぇ!!!
8.リーグ31節、そこに先生!
チームを救うナイスカバーリングでした!
9.リーグ34節、電光石火の先制点
この形!この形のゴールが見たかった!!
10.ルヴァン準々決勝、ドキドキVAR
得点後に審判の腕の動きに注目するようになりました。
11.ルヴァン準決勝、完璧なドロー
1stレグのリードを活かした完璧なドローでした。
12.ルヴァン決勝、アベゴール
遂に!遂にフロンターレのルヴァン決勝で時が動き出した瞬間
13.ルヴァン決勝、悠ゴール
「これは勝ったな」そう思った時が僕にもありました。
14.ルヴァン決勝、ラストPKストップ
なんか止めそうな気がする。そう思ったフロサポさんも多いのでは?
15.ワーチャレ、MVP
10分間でMVP獲得。賞金を時給換算したら、、、?
16.5/3スタメン紹介
毎度お馴染み、相撲の呼び出しさんによるスタメン紹介
17.8/24スタメン紹介
こちらもお馴染み、東急の車掌さんによるスタメン紹介。
18.ハンド?な始球式
MR.マリックさんをゲストにお招きしての始球式。ハンドパワーを使ったPKで、ハンドの反則じゃないかと物議を呼びました。
19.ファン感、ケンゴ弾き語り
短い練習時間で、あんだけの弾き語りが出来るのは凄い!
以上です!
想定よりも倍近くの『いいね!』を頂けたので、準備してた物じゃ足りなくなりました(笑)
2020年分に備えて、今年はストックしときます!!
2020年6月10日 晴れ
拙作は川崎フロンターレアドベントカレンダー https://adventar.org/calendars/3880 に寄稿するものです。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
ーーーあと、5分。
定時まであと5分。
頭の中のリトルサポーター達が『アーバンテー!』と歌っている。
今日1日順調に来た。
小さな打ち合わせと大きなプレッシャーをスルリとターンでかわして、ここまで来た。
あとはPCを閉じて帰る……いや、行くのみ。
ネットの各記事も番記者の有料記事も≪カレ≫のメンバー入りを示している。
7ヶ月。
書いてしまえば3文字だが、そのリリースを見た瞬間はとても長いと感じた。
そんな一日千秋な期間を≪カレ≫はジャスト7ヶ月で乗り越えて来た。インターネット上には『驚異』と『不安』が入り交じる。
俺は『信じる』ことにした。
実を言うと≪カレ≫とは同じ大学の同期である。同期生の誇り!と言いたいところだが面識もないので、あまり公言はしてない。
でも、この年齢でも一流アスリートである≪カレ≫の事はやはり誇らしく思える。
そんな≪カレ≫が今日ピッチに帰ってくるかもしれない。
そんな想いにふけっていると目の前に気配を感じPCから目線を上げる。そこには申し訳なさそうな顔をした若手の部下が立っている。
ーーー嫌な予感しかしない。
そして、表情通りのベストマッチな申し訳なさそうな声で「すいません、ちょっとお客さんから……」
嫌な予感ほど当たりやすい、とは割とよく聞く話だ。
◯●◯●◯●◯●◯●◯●
よし!よし!よし!
キックオフには間に合わないけど、前半の早い時間には間に合う!!
部下からの話は明日対応すれば問題なしだった。
明朝の一番に設計の技術者に確認して、客先の現場に行って対応するという一応の解決となった。
というか、お客が機械の設定を変えて元に戻せなくなっただけ!アホかーーー!!
電車の中で発表済みのスタメンを確認。
≪カレ≫は既報通り、ベンチメンバーとしてその名を連ねていた。
自分の心臓が1つ大きく鳴ったような気がした。
スタジアムに到着し、メインスタンドのゲートを潜る。腕時計を見ると前半10分というところか。
とりあえず食事をと、スタンドの階段を上がっていくと『ワァーーー!』という少し小さめな歓声。
ピッチが見えるところまで行き、大型ビジョンを見ると0-1というスコアが目に飛び込んできた。
Q【今年もですか?】
A【はい、今年もです】
どうも、このチームは毎年エンペラーズカップ初戦を苦戦しないと気が済まないらしい。
まぁそれでも何とか勝ち上がってはいるので、きっと大丈夫だろうと売店でビールとカレーライスを買って着席。
さてさて、カレーを食べながら華麗な逆転劇を期待しましょうか!
◯●◯●◯●◯●◯●◯●
……なんて思っていた自分をぶん殴ってやろうか。
その後、応援しているチームは強豪らしい内容を見せるもゴールに嫌われまくる。
得点が入りそうで入らない。嫌な予感しかしない。
そんな前半AT。
嫌な予感はまたもや当たる。
相手のミスキックが味方イケメンDFに当たり、まさかのオウンゴール。直後に笛が鳴り0-2で前半終了となった。
「悪くない、悪くないんだけど最悪すぎる」
2杯目のビールを飲みながら、どうにもならない感想を漏らす。
大学生チーム相手に不甲斐ない試合、とは言えなかった。
プロ2年目のボランチとユース期待のFWがホームデビューし、少なくないチャンスを作ってはいた。
本当にあとはゴールを決めるだけ。それだけなんだが、ありがちな負けパターンとも言えてしまう。
ハーフタイムのウォーミングアップに目をやると、鳥かごで≪カレ≫は楽しそうにボールを回す。怪我の影響はなさそうに見えるので、ひとまずは安心した。
後半から1人変えるようで、ベンチ入りしている背番号10番はウォーミングアップに参加していない。
◯●◯●◯●◯●◯●◯●
後半開始時に先述のボランチと10番が交代。結果を残せなかった分、ほろ苦いデビューとなってしまった。次の機会でのリベンジを願おう!
そして、10番。やはり別格である。
あっさりと決定機を作り出し、左SBのプロデューサーが決めて1-2。
ようやく反撃の狼煙が上がった!
後半19分。
同点そして逆転への期待が高まる中、遂にユース年代から期待されてきた選手が大砲と呼ばれる真価を発揮する。
エリア外からミドルシュート炸裂!同点!!
ユースに甘いねんと冗談で評されたクラブのサポーター達がスタジアムのボルテージを一気に上げる。
あと1点、あと1点取れれば、たぶん勝てる!!
しかし、ここから両チームともゴールが遠くなる。防戦一方になりつつも水際の守備でゴールを死守し、ファイティングポーズを絶対に解かない大学生チーム。
一方、シュートまでは行けるが再びポスト当て大会になるホームチーム。
「こりゃ残業か……?」とスタジアムの観客達が延長戦を考える中、ホームチームのコーチがサブメンバーに声を掛ける。
誰が呼ばれる?なんて思わない。
この状況でサポーターが出て欲しいと願う選手は。
監督が満を持して出す選手は。
≪カレ≫しかいない。
ベンチのあるメインスタンドからバックスタンドにどよめきが波打っていく。
気の早い何人かのサポーターが≪カレ≫の名前を叫んでいる。
そんなスタジアムの歓声を一身に受けながら≪カレ≫は靴下の中に脛当てを入れ、スパイクの紐を締め直し、最後にビブスを脱ぐ。
その背中には
14
選手名はーーー
ーーー選手名は視界が滲んで見えなかった。
◯●◯●◯●◯●◯●◯●
後半43分
スタジアムが『イヤァオ!!!』という大きな、7ヶ月分のサポーターの思いを込めたとても大きな歓声に包まれる。
≪カレ≫は怪我をしてしまった2019年のゴールパフォーマンスで自らの復活をアピールした。
それはまるで、また去年の続きから俺はやるんだ、まだポジションを明け渡すつもりはないだ!という決意表明のようだった。
また≪カレ≫のプレーを見られる。
まだ同期の≪カレ≫を応援できる。
2020年6月10日。晴れ。
この日からまた≪カレ≫の進化が始まる。
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あとがき
中村憲剛選手の完全復活祈願作品です。
と言いつつも、この物語はすべてフィクションです。
登場する選手を特定できる箇所が多々あるように思えるかもしれませんが、すべてワタシの妄想上の人物であり、書いてある試合も妄想上の出来事です。